「伊藤病院」閉院
■癒し系病院として皆さんに愛された医療法人誠仁会「伊藤病院」は、2014年6月1日に閉院しました。
■日本初の腹腔鏡手術を行い、わが国のリーダー的存在だった伊藤病院の腹腔鏡下手術は伊藤將史医師退職に伴い「いとう女性クリニック」に継承された。 カテゴリ
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子宮筋腫の患者さんのなかでも、お子さんがなく、筋腫が大きく子宮摘出を告げられた女性の精神的なプレッシャーは、周りの想像を超えるものがある。
Aさんは、多発性筋腫のためいくつもの病院で子宮全摘を勧められた。はじめはショックを受けたが、もう40歳を過ぎ、症状も強かったから子宮を取る決心をして伊藤病院に来られた。 やはり、私も子宮の摘出が妥当かと診断し、そのように告げた。 聞くところ、情緒不安定で、心療内科からたくさんの薬をもらっているという。 その理由は、子宮を取らなければならない精神的負担かと思われたが、事情を聞くとそんなに単純ではないらしい。 Aさんの夫が子宮を取ることに大反対なのだ。 夫曰く「理性ではわかっていても、自分の好きな女性の子宮がなくなることは大変つらく、もう女として妻をみられない」というのだ。何とも正直でまじめな方で、Aさんを彼なりに愛して(甘えて)いるのだろう、彼女の身体が完全であって欲しいという思いが強い。 夫の意見を聞いたAさんは、「自分が貧血や腹痛でこんなに苦しんでいるのに、ましてや、自分が最も辛い摘出手術の決断をしているのに、この期に及んで、まだ子宮が大切と思い込んでいるの!? 私と子宮とどちらが大切なの?」 と、半ば呆れて、本気で離婚を考えているらしい。 (ちょっと、待って! 子宮を取って離婚かよ・・・。) これはなんとか避けなければならない。 Aさんは、ご主人との泥沼の対決のなかで、片意地をはって「絶対に子宮を取ってやる!」と意気込んでいるのではないかと判断した私は、思い切って、子宮を残す提案をしてみた。 「手術は難しいが、子宮を残す努力をしてみようか・・・?」と申し出た私に、Aさんは、「えっ?」と戸惑いの表情を浮かべた。 「だって、子宮を取って、意地を張って、そのうえ離婚してどうするの? ご主人のことは嫌いじゃないんでしょ?」と続けた。 「嫌いではないけれど、”子宮”があることに拘る男が何とも情けなくて・・・。」と、身をよじって訴えるAさん。 「そりゃぁ、僕だって困ったご主人だと思うが、反面、奥さんの体に拘る男の気持ちもわからなくはない・・・。 じゃぁ、もう一度、原点に戻って尋ねるが、Aさん自身、子宮はあったほうがいいの、それともなかったほうがいいの?」と究極の質問をぶつけた。 「えっ!・・・そりゃぁ・・・、あ、あるに越したことはないですよ~。誰も好き好んで子宮を取りたいと思わないでしょう?!」とAさんの本音が口をついた。(これまで、子宮は取ってやるー!と意気込んでいたAさんの肩の力がフーッと抜けたような気がした。) 「よし! じゃぁ、ご主人の希望がどうあれ、原点に戻って子宮を残すべく手術をしてみよう! うまく残せたら残すし、元に戻らないような子宮だったら摘出するということで頑張ってみよう!」と申し上げると、Aさんの顔がサァーと明るくなった! 「出血が多く輸血の可能性があるし、再発の可能性も高い、症状がすべて取れるかどうかわからないが、頑張ってみるか!」 Aさんは、私の言葉に黙って頷き、笑顔をみせた・・・。ご主人もうれしそうだった。 ご主人には、「もし、奥さんの生命にかかわる病気の時に同じようにダダをこねたら、本当に離婚されるよ!」と付け加えた。 ♪ 手術が無事終わって・・・。 先日、術後健診にAさんが来院した。 「えらく顔色がいいね!元気そうだねぇ~!」 「はい! 心療内科の先生も私の元気さにびっくりされていました。薬ももう飲まなくてよいだろうと。 で、主人とも仲良くなって・・・、喧嘩をしても長引きませんし、5分もすれば仲直りです!」 よかったねー! 忘れられない患者さんがまた一人増えた・・・。 私からもお礼をいいます。元気になってくれて、ありがとう! (注;大きな筋腫をお持ちのすべての方に、子宮筋腫核出術が当てはまるわけではありません。)
by Dr_M_Itoh
| 2007-09-11 13:00
| 子宮筋腫
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