1日に一組のご家族・・・まるで、温泉旅館のキャッチコピーのようですね。
一日一人のもてなしを。
お産に関して私たちが最も重んじることは「安全」です。当院は安全な医療を実現させるために、敢えて、小規模で効率の高い「医院(診療所)」ではなく、医療審査のより厳しい「病院」という形態をとっています。同時に、「小さな病院」の利点を活かし、大病院では望めない患者さん一人ひとりの顔がみえる診療を堅守しています。
このことが、古くから京都の文化人や知識人に愛され、「何故かわからないが、伊藤病院には癒される雰囲気が漂っている」「一度は伊藤病院で産んでみたい」と言われてきた所以でしょう。
近年、豪華な設備で年間1,000人以上のお産を取り扱う、所謂、巨大産院が全国に続々と誕生しています。年間1,000人というと、お産が重なる日は1日10人以上の赤ちゃんが産まれる計算です。個々の妊婦さんにとっては、団体旅行に混じったようなものですから、ご自分の希望や思い入れを事前に申し込んでおかなければなりません。一般に、バースプランとか、積極的な自己参加を要望するアクテイブバースといわれるものです。
そもそも、バースプラン、アクテイブバースの精神は、個々の患者様の人間性を慮(おもんばか)るということですから、黙っていても、病院側からから提供(受け入れ)されているはずのものです。患者様が人生の檜舞台に立つ主人公なのですから・・・。
そして、そのような成熟した病院のスタッフにとっては、患者との人間味溢れるコミュニケーションこそが、「ホテル」を語源とする「ホスピタル」に働く醍醐味なのです。分ってもらえるかな~?
伊藤病院をお産でご利用される方は、ずーっと昔から年間約300~350人と変わりませんし、今後も、これより多くの分娩数を取り扱うつもりはありません。
そう・・・、お産が始まった妊婦さんに「慮る精神」で接し、ホスピタリテイ(癒し)を感じて頂くには、一日お一人(平均)で精一杯だからです。
無事お産が終わって、赤ちゃんと一緒に伊藤病院を退院されるときに、
何かしら心地よい気持ちを感じて頂けたら・・・。それが伊藤病院が長年皆様から教わって、培ってきた当院の「癒し」の雰囲気かも知れません。
(かっこ良すぎるか? でも、ほんと!)
注:一日当たりの最大分娩数の目安ですが、年間分娩数の1/100が1日に集中することがあります。年間分娩数が1,500件なら15名、500例ですと5名といったところでしょうか。