また、悲しいプール事故死があった。
聞くとことによると、授業中の足撃(ソクゲキ、バタ足)練習中に起こったらしい。
俗にいうバタ足には、競泳用の脚全体を大きく交互に打つものと、
膝を曲げて足の甲を交互に打って浮力を生む日本泳法の
足撃(http://www.nezumijima.com/koboriryu/kaisetu.htm)というものがある。
これらをいっしょくたにして子どもの授業にはバタ足を教えていることが殆どである。
共通しているのは、手をプールの端にかけて体躯を伸ばして足を打つことである。
結構つらいので本気でやると30秒~1分程で苦しくなるが、
教員の手が届く距離に子ども達がいて、目が届くことから水泳授業の基本練習の一つである。
どうして今回の事故が教員の目前で一瞬で起こったのか、私なりに考えてみたい。
水の中では怖さの為、すぐに苦しくなり体が沈んでくる。この時、息ができなくなり立ち上がろうとするのだが、思わず水を吸い込んでしまうことが多い。
水を飲むと(呑むのではなく、ここでは気管支に水がはいること)と反射的に咳き込んで、さらに悪いことにプールの底に足が着かないと、沈む時に咳き込んだ反射でさらに次の水を飲んでしまう。
溺れるということは息が続かなくなること(窒息)ではなく、肺胞が水に濡れて酸素を体に取り入れられなくなることで、声も出ないまま一瞬で起こり沈んでしまう。
では、今回の事故はどうして起こったのか?
それは現場の教員たちがこうした知識がなかったことに他ならない。
そして授業を受ける生徒の最低身長-50㎝の深さ(浅さ)を確保していれば防げた可能性は高い。
子どもの水泳の授業は水難事故を防ぐのことが大きな目的の一つであるであるはずだが、
高知市は小中学校の水泳授業の一年間中止を全員一致で行ったのである。
教育、スポーツそして事故防護の観点からからも、唐突で余りに拙いバカげた対応だと言わざるを得ない。
解決方法は、プールの水深を速やかに調査し、最低身長−50㎝より深いところでの授業のみをいったん中止し、対策を施すことであろう。もちろん指導教員の教育は当然のことだ。
追記:私は過去に競技水泳や日赤水上救助員の経験がある。また、古式泳法(京都、踏水会)の段位を持ち、踏水会での水泳の授業や中学での水泳指導、監督を行ってきたので、今回のニュースには黙っていられなくなった。亡くなった小学生の冥福を祈りたい。