先日アスリート女性の月経不順に関するの番組がNHKで放送されていた。
運動により体重が減り、月経がなくなり(3ヶ月以上)、その結果、骨粗しょう症、疲労骨折になりやすいので注意しようという内容だった。
確かに、競技領域では体重減少(体を絞る、あるいは痩せていること)はむしろ成績を伸ばすために必須で良いことだと誤解されているところがあり、記録も一時的に向上することがある。
しかし、体重が減る(減っている)ことは絶対的な栄養不足の証である。
体のエネルギーは、そもそも生きるために使われており、そのエネルギーが少ない場合は、生きるために必要な臓器に優先してエネルギーが配分される。第一は心臓、肺、脳であり、肝腎も重要だ。これに対して卵巣・子宮はとりあえず後回しにされてしまう。いま、妊娠する必要がないからだ。
こうした結果、卵巣の機能が低下し、月経が無くなり、子宮の発育が悪くなってしまう。
骨粗しょう症や疲労骨折も卵巣のエストロゲン低下に起因する。
これを、解決する方法はある。一言で言えば体重を健康な標準に戻し、卵巣へのエネルギーを回復させることだ。これは原則である。そしてこれを補佐する大切な治療が、卵巣ホルモン(例えばピルやLEP)補充だ。
それでは、アスリートの皆さんが医療機関を受診して治療を受けてよいか?
答えは難しい。ドーピングの問題や、出血のコントロール、月経と試合日程との細やかな調整など、そして多くのホルモン剤から個々に合った薬の選択など、治療の工夫が必要であるからだ。なかには、内科や整形外科でピルだけをもらっている方もおられるが、やはり専門知識の豊富な産婦人科専門(これ当院の広告?!)の健康スポーツ医が良いだろう。
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