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チョコレート嚢腫手術は何時受けるか?

   前のコラムでは、やや難しい説明になってしまいましたが、結局のところ、子宮内膜症の手術治療はいつ受ければよいのでしょう?子宮内膜症性卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)を伴わない子宮内膜症の診断は難しいので、ここでは、子宮内膜症でチョコレートの嚢腫があると診断された場合に限ってお話をしましょう。

  結論からすれば、チョコレート嚢腫と診断されれば、腹腔鏡による診断と手術をできる
だけ早くに受けるべきでしょう。
子宮内膜症の卵巣嚢腫と診断された場合、担当医からは、
「まだ小さいからもう少し大きく(5-6センチ以上)になるまで様子を見ましょう。」
「若くて、未婚だから、もう少し先にしましょう。」
「手術しても、再発しやすいから、どうしようもなくなったら手術しましょう。」
などと説明を受け、ダナゾールやGn-RH製剤による治療を薦められます。
しかし、こうした内科的治療では、卵巣嚢腫はなくなりません。投与中は、症状が抑えられたり、サイズが縮小することはありますが、投与期間が終了すると、リバウンドでまた元の大きさに戻ってしまうのです。

  子宮内膜症で手術(腹腔鏡手術に限る)を受けるかどうかは、例えてみれば、虫歯の治療のようなものでしょう。虫歯は自然には治らないどころか、徐々に進行し、放っておくと抜歯しなければならなくなってしまいます。鎮痛剤などに頼るより、できるだけ早い治療が必要です。早く治療しきちっと検診していけば、治療された歯は一生健康でいてくれます。
子宮内膜症(特に卵巣嚢腫を伴うもの)も同じような考えで望む必要があると思います。

注;ここで申し上げる腹腔鏡検査と手術は、腹腔鏡下の内膜症手術に熟練した医師が行うことが前提です。
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by Dr_M_Itoh | 2006-03-25 10:06 | 子宮内膜症 | Comments(6)

子宮内膜症の治療指針の変化

 前のコラムでお話したように、子宮内膜症の主症状は、月経痛、性交痛、排便痛などの疼痛や過多月経、貧血です。また、不妊の原因になることもしばしばで、不妊症の原因検索で腹腔鏡検査を行ったところ子宮内膜症が発見されることがよくあります。

5~10年前までは、子宮内膜症の診断と治療指針は、
1.腹腔鏡検査による確定診断、
2.GnRHないしダナゾールによる薬物療法
3.必要に応じて開腹手術とされるのが一般的でした。

しかし、1,3は全身麻酔下での手術と入院を要することから、未婚で手術をしたくない人や、手術設備のない医療機関で治療を受けている人は、2の姑息的治療のみを繰り返すしか方策はなく、この場合、一定の治療期間(半年が目安であることが多い)が終了すると、またさらに悪化するのを受け入れるしか治療手段がありませんでした。

 しかし、最近、腹腔鏡下手術の応用により子宮内膜症の様々な病変に対して手術治療がおこなわれるようになり、従来であれば開腹手術を要したケースでも腹腔鏡下手術で大きな侵襲を回避出来るようになりました。さらに、熟練した医師が行えば、開腹手術よりもより確実で精度の高い手術ができるようにもなりました。
  この事は、先に述べた1.腹腔鏡検査、2.内科的治療、3.開腹術という診断治療指針は既に過去のものとなり、A.腹腔鏡検査・手術とB.内科的治療の2者の組み合わせによる治療が主流になってきたことを示しています。

 子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術は、未婚女性や妊娠を希望されている患者さんにとっては、傷も小さく、術後の癒着も少ないので大きな福音といえるでしょう。
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by Dr_M_Itoh | 2006-03-18 13:22 | 子宮内膜症 | Comments(0)

子宮内膜症と言われたが・・・

  子宮内膜症は、子宮内膜の細胞が子宮以外の場所(異所)に発育する不思議な病気です。こうした異所性の子宮内膜は女性ホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)の影響を受けて、月経の度にその場所で出血し、卵巣の場合にはチョコレート嚢腫と呼ばれる腫瘍を作り、また、その周囲の子宮や直腸と強い癒着を引き起こします。 簡単に言えば、子宮の内腔以外のところで小規模な月経(出血)が起こり、血が溜まったり、血糊となって臓器を癒着させる疾患です。

  20才以下の若い女性にもしばしば見られますが、30~40歳の方に多く、主な症状は疼痛(月経痛、排便痛、性交痛)です。

  最近、こうした子宮内膜症の患者さんが増えてきています。特に当院では、「他医で子宮内膜症と診断され腹腔鏡手術が必要と言われたが、技術的なことが不安で・・・」とか、「まだ、手術は要らないが、ホルモン療法をしようと半年間治療したが治らなくって・・・」という患者さんたちが多く相談に来院されます。

  では、どのような状態の時に、手術が必要なのか? 薬物療法だけではダメなのか?
そのあたりのところを、次のコラムでお話しましょう
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by Dr_M_Itoh | 2006-03-07 13:31 | 子宮内膜症 | Comments(0)