カテゴリ:子宮内膜症( 13 )   

やはり子宮内膜症で悩む方は多い   

2013年 11月 05日

  腹腔鏡手術が普及して、比較的容易くどの施設でも受けられるようになった。
子宮内膜症の方の相談も減るかと思っていたが、やはり治療方針に悩んでおられる方、症状に苦しんでおられる方が絶えない。

手術治療の時期と質が問われるだけに積極的、かつ慎重に取り組んでほしい。
「こんなもんだ」と言われて諦めないようにしてほしい。
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by Dr_M_Itoh | 2013-11-05 14:22 | 子宮内膜症 | Comments(0)

子宮内膜症の手術時期   

2012年 02月 25日

 子宮内膜症の腹腔鏡診断・手術をいつ受けるかは難しい問題です。過去のブログでは出来るだけ早い方がよいだろうとの見解を述べました。しかし、その後ディナゲストという優れた治療薬が開発され、その臨床効果が高いことから、ディナゲストで一定期間(1~2年)様子を見るのも良い方法だ、とも申しあげました。

 しかし、殆ど臨床所見と自覚症状のない患者さんに対して、不妊検査を目的に腹腔鏡検査を行ったところ、やはり結構進んだステージになっていることが先月から今月の手術で何人かに見受けられました。つまり、術前に考えていた以上に実際は進んでいたということです。

 こういった患者さんが続くと、単なる経過観察やディナゲスト療法が手術より良い方法かどうかという根本的な疑問が再び湧いてきます。特に治療期間に時間的制限がある不妊患者さんにとっては大切なポイントです。

 当院では20年以上の腹腔鏡手術経験から、腹腔鏡手術を(一時的にでも)回避できるディナゲストに強い期待を抱いていましたし、今後もその評価に変わりがありませんが、不妊症例や若年症例に関しては、やはり腹腔鏡検査でしっかりと診断をつけることが最も効果の高い治療法を選択できるのではないかと思いなおしているところです。

結論:若年、不妊の子宮内膜症の方はなるべく早くに腹腔鏡検査を受けた方がよいという基本的な結論に戻りました。その場合以下の条件が大切ですね。
   1.生涯を通じて診てくれる担当医をみつけること   
   2.優れた腹腔鏡手術経験のある施設・術者を選ぶこと
   3.既婚、30歳代で不妊がなく、症状も軽い方は先に延ばして良いことがある
   4.40歳も半ばの癌年年齢では、癌を否定するために受けた方がよいことも

子宮内膜症は難しい・・・です。頑張りましょう。
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by Dr_M_Itoh | 2012-02-25 11:22 | 子宮内膜症 | Comments(2)

内膜症新薬ディナゲストの会合で東京に   

2011年 02月 02日

 1月29日は、子宮内膜症の新しい治療薬ディナゲストの研究会が東京であり、私も久々に新宿に出かけた。本剤はプロゲスチン製剤であり、同じ女性ホルモン剤でもピルとは異なる仕組みで子宮内膜症の進行を緩和する優れたものだ。

一言で言えば、妊娠に似た状態になることで排卵を抑え、疼痛緩和効果も高い。本剤の登場で、子宮内膜症の治療法の選択枝(匙加減)が増えた。

今回の研究会では、安藤先生と松本先生の講演を聴くことができ大変参考になった。

出席者は全国の産婦人科腹腔鏡下手術認定医に限られたので、講演後の懇親会では全国の多くの先生方と話することができ、まるで同窓会! ・・・楽しかった。

・・・

新幹線での往復で、雪化粧の富士山を見ることができたが・・・。

(つづく)
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by Dr_M_Itoh | 2011-02-02 13:07 | 子宮内膜症 | Comments(2)

説明は難しい   

2008年 06月 11日

外来における説明は、ほんと、難しい…。

 当院には、大きな子宮筋腫で悩んでられる患者さんが多く訪れる。彼女たちは他施設で無理だろうといわれた手術が伊藤病院では叶うと期待して駆け込んで来られるわけだが、私が「前の先生の説明が標準的な考え方で、筋腫だけを取って子宮を残すことはあなたの場合、少々無茶な要望だよ」とお話しすると、「ガーン!」と出鼻を挫かれ失望の表情を浮べられることがある。

 伊藤病院では未婚、未産の方(45歳未満)の子宮は極力残すように努力してきた。今後もその方針に変わりはないだろう。しかし、経産婦で今後妊娠を望まない方に対しては子宮摘出の方が結果が良い場合もあるので、個々の病状に沿って説明をさせていただいている。

 こういったお話を申し上げるのは、最近、腹腔鏡下手術で簡単に手術ができると思ってらっしゃる方が急に増えてきたように思う。(術者仲間で話題になっている全国的な傾向)

腹腔鏡下手術は、その普及過程で、傷が小さく患者さんは術後が楽だという利点が強調されてきた。しかし、腹腔鏡下手術は決して魔法の(ように楽な)手術ではない。リスクも高いし、術者の体力の消耗も大きい。お伽噺の「鶴の恩返し」に登場する鶴が自分の羽毛を抜いて(だから僕、禿げたのかなぁ~?!)織物を織るように、術者はその体力を振り絞って手術を成し遂げるである。無理をすると、出血や再手術のリスクも高まる。

ポンと病院に来て、サッと手術が終わり、スッと職場復帰できる類のものではないのである。

a0057559_12443152.gif参考:お伽噺「鶴の恩返し」 


  こうしたことをいちから順序だててゆっくりと話せばよいのだが、前の病院で診てもらってある程度の知識があるだろうと思って、ついつい段飛ばしで冒頭のような説明すると、
『伊藤先生は何でも叶えてくれると聞いたのに~!』と、・・・。

・・・患者さんの望む説明を差し上げるのは難しいものである。
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by Dr_M_Itoh | 2008-06-11 12:49 | 子宮内膜症 | Comments(2)

若年の子宮内膜症   

2008年 03月 04日

 年初から、若い人の子宮内膜症手術が続いた。全症例とも早くやってよかったと喜んでいただいた。

 子宮内膜症は、チョコレート嚢(のう)胞と呼ばれる卵巣の腫れを伴うことが多い。卵巣の中に古い血液が貯まるわけだが、3センチ以下の小さなものは超音波検査で見つけ難く、見落とされることがある。特に若年かつ未婚の方は診察がしにくいから、なおさらである。

 また、たとえ見つかっても、20歳前後の若い女性相手に手術を勧めることは婦人科医としても気が重い。開腹術は避けたいし、腹腔鏡下手術の技術はないし・・・、と言うところが一般の婦人科医の本音だろう。
・・・結局、「しばらく様子を見て、5、6センチを越えたら手術を考えよう」という説明のもと、鎮痛剤やピルで疼痛を抑える対症療法が採用されることになる。

しかし、卵巣が腫れること自体、すでに内膜症では重症のグレードに分類され、放置しておいても自然に治ることはない。

ここが難しいところである・・・。

 17歳の高校生(Aさん)が月経痛、腹痛で学校を休むようになった。内科や産婦人科で診ても原因がわからない。鎮痛剤やピルなども試されたが効果がない。心療内科も受診して向精神薬も処方された。・・・でも治らない。学校を休むことが多くなり、教師や家族は登校拒否ではないかと訝る。・・・退学まで考えた。
 Aさんは悩みぬいたあげく、相談していた大学病院の女医さんの勧めで腹腔鏡検査を受けることを決心した。当院に紹介され、腹腔鏡で子宮や卵巣を検査すると、やはり!・・・子宮内膜症の病巣が見つかった。私たちは子宮内膜症の病巣を丁寧に取り除き手術を終えた。
Aさんの疼痛は取れ、明るさを取り戻した。現在元気に復学している。

やはり、若年性の子宮内膜症は早くに腹腔鏡検査を然るべく施設で受けるのがよいだろう。
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by Dr_M_Itoh | 2008-03-04 13:06 | 子宮内膜症 | Comments(0)

握手先生   

2008年 01月 21日

  早いもので、一月ももう半ばを過ぎた。今年の腹腔鏡下手術は年始5日の子宮全摘術、子宮内膜症から始まった。

先日、子宮筋腫の方(Aさん)の退院診をしたあと、診察台から降りたAさんから呼び止められた。

「どうしたの? もうまったく心配ないよ。」
「はい、ありがとうございました! あの~、握手をしてください。」
「あっ、・・・」 

患者さんのこうした気持ちはうれしいものである。 どちらかと言うと、私から「退院おめでとう!」と手を差し伸べなきゃいけないんだが・・・。(シャイなもので・・・)

あわてて、Aさんの右手を両手で包んで、「よかったね。頑張ってください。」と答えた。何でもない私の握手が患者さんを幸せな気持ちにさせる、・・・ありがたいことである。
・・・で、そのあと「今度は筋腫でなくて、赤ちゃんを育てよう!(笑)」と、ボケをかました。

最後に笑いをとるべく「ボケ」を入れのは私(関西人)のサービス精神の表れか・・・。
時おり笑いをとれない状況がある。 こんなときはメッチャ焦るが・・・。

Aさん笑ってくれてありがとう!
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by Dr_M_Itoh | 2008-01-21 17:56 | 子宮内膜症 | Comments(5)

子宮内膜症の卵巣嚢腫はやはり早い時期に手術を   

2006年 09月 20日

今日も手術が無事終わった。
患者さんは、他の総合病院で卵巣嚢腫と言われたため、セカンドオピニオンを求めて当院を受診された。診察の結果、子宮内膜症性嚢胞と思われたので、結婚間近だったが、早い目の手術をお勧めした。その後、結婚式が済んで、今日手術となった次第である。

術前のMRIでは、大きさが5センチ程度の小さな卵巣嚢腫であったが、腹腔鏡で覗いてみると、直腸、子宮、両側の卵巣嚢腫は癒着して一塊になっていた。いつものように丁寧に癒着を剥がし、卵巣嚢腫の核出を行った。難度の高い手術だったが、満足できる結果が得られた。

やはり、子宮内膜症は見つかった時に手術をするのが一番だ。小さいからと手術を躊躇して様子を見ていると、すぐにどんどん進行してしまう。

新婚早々であるのに手術を受けることを希望された今日の患者さんに敬意を表す。
きっとすぐに赤ちゃんができるぞー! 楽しみだ。

明日は、大阪中央病院の松本先生と、厳しい子宮内膜症の手術予定だ。
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by Dr_M_Itoh | 2006-09-20 20:47 | 子宮内膜症 | Comments(4)

子宮がイナバウア-?!   

2006年 06月 05日

  子宮は腟の奥、膀胱と直腸の間に位置する赤ちゃんを育てる臓器です。普通は、体の前(膀胱側)に向かってお辞儀をするように前傾前屈しています。ところが、子宮の後壁に子宮内膜症のような病変があると、この病変に引っ張られて後に反ってしまうことがあります。「病的な子宮後屈」と呼ばれる状態で、月経痛がひどかったり、排便痛、性交痛があったりします。
 a0057559_17412920.jpg
こうした「子宮の後屈状態」を表現するのに、これまで「子宮が後に向かって傾いている」とか、「直腸の方に倒れている」とか、いろいろな表現をしてきましたが、それでは分りにくく、「それはどんな感じですか?」と聞き返されることがしばしばでした。
そこで、荒川静香にあやかって「子宮がイナバウアーしているんだよ。」とある患者さんにお話したところ、「メッチャわかりやすい!」と、大変うけました。と同時に、説明が怖くないという効果もありました。

 それ以来、「子宮がイナバウア-!」という説明が気に入っているのですが、これから夏になり、もうそろそろ流行もおしまいかなと、ちょっと残念な気分です。でも、子宮後屈=イナバウア-・・・解りやすいでしょ!

(注;子宮後屈だからといって必ずしも病気とは限りません。病気のない子宮でも後屈はあります。)
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by Dr_M_Itoh | 2006-06-05 17:34 | 子宮内膜症 | Comments(7)

チョコレート嚢腫手術は何時受けるか?   

2006年 03月 25日

   前のコラムでは、やや難しい説明になってしまいましたが、結局のところ、子宮内膜症の手術治療はいつ受ければよいのでしょう?子宮内膜症性卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)を伴わない子宮内膜症の診断は難しいので、ここでは、子宮内膜症でチョコレートの嚢腫があると診断された場合に限ってお話をしましょう。

  結論からすれば、チョコレート嚢腫と診断されれば、腹腔鏡による診断と手術をできる
だけ早くに受けるべきでしょう。
子宮内膜症の卵巣嚢腫と診断された場合、担当医からは、
「まだ小さいからもう少し大きく(5-6センチ以上)になるまで様子を見ましょう。」
「若くて、未婚だから、もう少し先にしましょう。」
「手術しても、再発しやすいから、どうしようもなくなったら手術しましょう。」
などと説明を受け、ダナゾールやGn-RH製剤による治療を薦められます。
しかし、こうした内科的治療では、卵巣嚢腫はなくなりません。投与中は、症状が抑えられたり、サイズが縮小することはありますが、投与期間が終了すると、リバウンドでまた元の大きさに戻ってしまうのです。

  子宮内膜症で手術(腹腔鏡手術に限る)を受けるかどうかは、例えてみれば、虫歯の治療のようなものでしょう。虫歯は自然には治らないどころか、徐々に進行し、放っておくと抜歯しなければならなくなってしまいます。鎮痛剤などに頼るより、できるだけ早い治療が必要です。早く治療しきちっと検診していけば、治療された歯は一生健康でいてくれます。
子宮内膜症(特に卵巣嚢腫を伴うもの)も同じような考えで望む必要があると思います。

注;ここで申し上げる腹腔鏡検査と手術は、腹腔鏡下の内膜症手術に熟練した医師が行うことが前提です。
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by Dr_M_Itoh | 2006-03-25 10:06 | 子宮内膜症 | Comments(6)

子宮内膜症の治療指針の変化   

2006年 03月 18日

 前のコラムでお話したように、子宮内膜症の主症状は、月経痛、性交痛、排便痛などの疼痛や過多月経、貧血です。また、不妊の原因になることもしばしばで、不妊症の原因検索で腹腔鏡検査を行ったところ子宮内膜症が発見されることがよくあります。

5~10年前までは、子宮内膜症の診断と治療指針は、
1.腹腔鏡検査による確定診断、
2.GnRHないしダナゾールによる薬物療法
3.必要に応じて開腹手術とされるのが一般的でした。

しかし、1,3は全身麻酔下での手術と入院を要することから、未婚で手術をしたくない人や、手術設備のない医療機関で治療を受けている人は、2の姑息的治療のみを繰り返すしか方策はなく、この場合、一定の治療期間(半年が目安であることが多い)が終了すると、またさらに悪化するのを受け入れるしか治療手段がありませんでした。

 しかし、最近、腹腔鏡下手術の応用により子宮内膜症の様々な病変に対して手術治療がおこなわれるようになり、従来であれば開腹手術を要したケースでも腹腔鏡下手術で大きな侵襲を回避出来るようになりました。さらに、熟練した医師が行えば、開腹手術よりもより確実で精度の高い手術ができるようにもなりました。
  この事は、先に述べた1.腹腔鏡検査、2.内科的治療、3.開腹術という診断治療指針は既に過去のものとなり、A.腹腔鏡検査・手術とB.内科的治療の2者の組み合わせによる治療が主流になってきたことを示しています。

 子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術は、未婚女性や妊娠を希望されている患者さんにとっては、傷も小さく、術後の癒着も少ないので大きな福音といえるでしょう。
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by Dr_M_Itoh | 2006-03-18 13:22 | 子宮内膜症 | Comments(0)