年初から、若い人の子宮内膜症手術が続いた。全症例とも早くやってよかったと喜んでいただいた。
子宮内膜症は、チョコレート嚢(のう)胞と呼ばれる卵巣の腫れを伴うことが多い。卵巣の中に古い血液が貯まるわけだが、3センチ以下の小さなものは超音波検査で見つけ難く、見落とされることがある。特に若年かつ未婚の方は診察がしにくいから、なおさらである。
また、たとえ見つかっても、20歳前後の若い女性相手に手術を勧めることは婦人科医としても気が重い。開腹術は避けたいし、腹腔鏡下手術の技術はないし・・・、と言うところが一般の婦人科医の本音だろう。
・・・結局、「しばらく様子を見て、5、6センチを越えたら手術を考えよう」という説明のもと、鎮痛剤やピルで疼痛を抑える対症療法が採用されることになる。
しかし、卵巣が腫れること自体、すでに内膜症では重症のグレードに分類され、放置しておいても自然に治ることはない。
ここが難しいところである・・・。
17歳の高校生(Aさん)が月経痛、腹痛で学校を休むようになった。内科や産婦人科で診ても原因がわからない。鎮痛剤やピルなども試されたが効果がない。心療内科も受診して向精神薬も処方された。・・・でも治らない。学校を休むことが多くなり、教師や家族は登校拒否ではないかと訝る。・・・退学まで考えた。
Aさんは悩みぬいたあげく、相談していた大学病院の女医さんの勧めで腹腔鏡検査を受けることを決心した。当院に紹介され、腹腔鏡で子宮や卵巣を検査すると、やはり!・・・子宮内膜症の病巣が見つかった。私たちは子宮内膜症の病巣を丁寧に取り除き手術を終えた。
Aさんの疼痛は取れ、明るさを取り戻した。現在元気に復学している。
やはり、若年性の子宮内膜症は早くに腹腔鏡検査を然るべく施設で受けるのがよいだろう。