8月24日、藤田保健衛生大学に診察予約時刻に辿りついた私の前に、宇山一朗教授は颯爽と現れた。アイコンタクトでお互い会釈をし、先生の診察室に案内された。
宇山先生の時間がないので、挨拶もそこそこに早速本題に。
「伊藤先生から頂いたデータを見てみると、結論としてはやはり手術ですね。」
「はい、心得ております。」
直接には初対面だったが、私は直感で宇山先生を気に入った。
患者がこの医師に手術を任せてよい(任せたい)という安堵感だ。
「ダビンチ(手術支援ロボットの名前)でしましょうか? 伊藤先生、如何ですか?」
「宇山先生ご自身ならどうような選択をされますか?」
「私なら、ここの教室の金谷(助教授)にダビンチでしてもらいます。」
「わかりました。ダビンチでいきましょう! 日本で初めての医者の患者のダビンチ手術ですね。宜しくお願いします。」
仕事柄、他人の段取りを決めるように私の手術を宇山先生とスケジュールした。
次の受診は約一ヶ月後の9月18日の入院まで、・・・何もない。
腹腔鏡下手術が決まってホッとしながらも、あまり円滑に話が進んだので、「これでいいんかいな・・・?」、っと、名古屋を後にした。・・・手術前の緊迫感はない。